会長挨拶


             ご挨拶



大学等環境安全協議会 会長

大島 義人



 吉岡敏明前会長の後を受け、大学等環境安全協議会の第11期会長を拝命致しました。任期の2年間,皆様方のご協力のもと,当協議会の一層の発展に尽力して参る所存です。よろしくお願い致します。
 大学等環境安全協議会は、全国の大学や高専等の研究教育機関で環境安全に携わる教職員が連携し、研究教育現場が抱える様々な環境安全に関する諸情報を交換し、会員相互の資質の向上をはかることを目的とする協議会です。1979年に、大学の廃棄物処理が抱える課題を解決するための組織として、前身である国立大学排液処理連絡会が発足しましたが、それからの40余年にわたり、環境保全、安全衛生管理、化学物質管理、環境安全教育など、当協議会は研究教育機関における環境安全を幅広く扱う組織に発展してまいりました。特に21世紀に入り、国立大学の法人化、様々な法律の改正、研究教育現場の国際化や学際化など、大学のあり方自体にも関わる様々な変化があった一方で、大地震や記録的豪雨といった未曾有の大災害、さらに最近では新型コロナウイルスの蔓延などの危機にも直面してきました。これらはいずれも、大学の環境安全に直接関わる大きな出来事ですが、本協議会としても、経験したことのないこれらの出来事に対して、それぞれの立場で迅速かつ適切に対応することを求められ続けてきた20年だったように思います。翻って、いかなる変化においても、現場が抱える課題の解決には現場の力が不可欠であることを体現してきた歴史であると考えれば、当協議会が果たすべき役割に鑑みて、会長としての重責とやりがいを痛感しているところであります。
 研究教育現場の改善を目指す本協議会において、会員間の実務的情報交換の場を提供することが、本来的な役割の一つであると考えております。めまぐるしく変化する社会情勢の中で、深化と多様化が加速する研究教育現場において、環境安全をめぐる課題も複雑化かつ多様化しています。一見すると共通の課題であっても、それぞれの現場の事情が異なれば、その最適な解決策は現場によって異なることもしばしば起こります。幸いなことに、当協議会には、賛助会員としての企業のご支援を含め、様々な立場で実験研究現場の環境安全に携わる会員が数多く所属されているので、会員が各現場で培ってきた知恵や工夫、経験を共有し、それを活用することで、多様化する現場の課題をタイムリーに捉え、各現場での解決に活かすことが可能となると考えております。今後も、情報や人のつながりを基軸とする本協議会の活性化を通じて、研究教育現場の環境安全の向上に寄与して参りたいと考えております。
 一方、本協議会には、環境安全分野の学術の発展および知識の普及・向上といった、Academic Activityの発信源としての役割も期待されております。本協議会が発行する査読付き学術誌「環境と安全」には、環境安全に関する総説、原著、報告論文などが掲載されており、英文誌「Journal of Environment and Safety」は、アジア地域の研究・教育機関の環境安全分野に関する国際会議ACSEL (Asian Conference on Safety and Education in Laboratory)のプロシーディングス掲載誌としての役割も担っております。これらの論文を会員外の方にも広く閲覧して頂くために、和文誌・英文誌とも電子版をJ-STAGEにて公開しています。また、当協議会では、大学の環境安全の向上に貢献する様々なテーマに関して、会員からの提案をプロジェクトとして実施する事業も行っており、その活動成果は、総会・研修会や技術分科会の機会に都度ご報告されるほか、論文誌への掲載を通じて広く発信しております。大学等の研究教育現場を研究対象とした調査、解析、技術提案は、合理的で実効的な環境安全管理の科学的根拠となるものであり、新しい学術領域としての展開も図って参りたいと考えております。
 最近の協議会では、新しい環境安全教育手法の開発についても活発な取り組みが進められています。大学の使命には、各分野における最先端の研究成果を上げる前提として、環境安全に関する社会的責任として事故の未然防止・安全性確保・コンプライアンスがあり、さらには環境安全に関するグローバルな素養を身につけた人材育成が挙げられます。昨今の研究分野の学際化、国際化に伴う留学生の増加、コミュニケーションツールの多様化に伴い、環境安全教育のあり方においても少なからず変化が求められています。科学技術の基盤を支える研究の自由や発展と環境配慮・安全確保・規則遵守とのバランスは、研究教育機関である大学等が抱える喫緊の課題であり、研究のアクティビティ向上と安全配慮とを車の両輪として推し進めていくことができる人材を育成するための、新しい環境安全教育手法の提案と発信を強力に推し進めていきたいと考えております。
 会員の一層の連携・協調によって研究教育現場の環境安全向上を目指す大学等環境安全協議会に、皆様の温かいご支援とご協力を賜ることができれば大変幸甚に存じます。よろしくお願い申し上げます。
  

(東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)